2005年10月23日 20:57

太助 (牛タン)

初めて行った店 
地図中央の赤い十字が店の位置

◎つくばで有名な牛タンの店。夫婦で飲みたいからと、夜小さな子ども2人をママチャリに載せて30分も漕いで食べに行く友人もいるほど。

仙台市にある『味 太助』で、約10年修行した店主が1998年頃つくばに開いた分店。『味 太助』の初代店主は、仙台牛タンの考案者であり生みの親である故佐野啓四郎氏。(年代から考えるに、店主は初代店主の存命中に修行したと思われる)。

しっかし、この店、天久保のくいだおれ街の歓楽街アーケードといった通路の中にあって、道路からは全く見えない。この辺りは昼時の人通りはほとんどなく、通りかかりに見つける人など滅多にいるとは思えない。こんなんで大丈夫なの・・・?と人の店のことながら心配になる。

店の周辺は、昭和を忍ばれる貧乏くさい雰囲気の通路だが、この店の前だけは打ち水もされてて、きれいに整っていた。

玄関脇に黄色い張り紙が貼ってあり、

ランチ、牛タン、スープ、麦めし、漬物 ¥1600  とあった

ちょっと緊張しつつ、引き戸になってる玄関扉を開けて店の中に入った。

玄関入ると、ほぼ正面に厨房とそれを囲むようにL字のカウンター席があって、厨房にややふっくらした感じの40代くらいの男性がいて、店主のよう。手には火箸みたいのを持っていて、起こした火の管理をしてたみたい。奥から、奥さんらしきやはりふっくらした体型の女性が現れて、どうぞといって誘導してくれた。

通された店内右手は、ぴかぴかに磨かれた板張りの広めの座敷スペースになってて、壁下部やテーブルには使われて形状生かした無垢材が使われてて、八角掛け時計、ピアノ(使われてないみたい)、だるまなどが置かれてて家庭的な温もりのある中に明治〜昭和っぽい親父の存在が感じられる雰囲気。

席に座って卓上にあったメニューを見た。卓は通常のより幅の狭い(60cm位?)が、この部屋の雰囲気からすれば、押し込んだ感じはなく、密接なつながりって感じなので、居心地は悪くない。

メニューは
・牛タン¥1200
・スープ¥420
・麦めし¥200
・ビール¥600
・お酒¥500
・サワー¥400
・ジュース¥200

壁のホワイトボードにきれいな文字でメニューが書いてあった
◆おふくろの味各¥300
・くるみと小魚の佃煮
・がんもの煮物
・南蛮味噌漬
・味噌ピーナッツ
・ポテトサラダ

メニューはいたってシンプル。牛タンの値段はBSE問題の影響で以前より上がっていると思われる。牛タンの店はどこも、BSEで経営が難しく、値上げしたり、メニューを増やしたりして、何とかしのいでいると聞いている。この店は、先代の味を守るべくがんばってるよう。

店主の奥さんがお茶を運んできてくれたので、ランチを注文した。

あまり待たずに牛タン、麦めし、スープが運ばれてきた。
牛タンは、少し厚めに切って塩などで下味をつけたものを炭火で炙ってあった。1枚を2つに切ってあり、深からず浅からずの飾り包丁が入ってるので、かみ切りやすく食べやすかった。脇にはたっぷりの白菜ときゅうりの浅漬け、南蛮味噌漬(青唐辛子の味噌漬け)も1本添えてあった。

牛タンは、塩味が肉と馴染んでいて丸みを帯びた塩味だし、(肉表面の焼きは備長炭のよるものらしい)炭火による香ばしさ加わって、ご飯にも合うし、お酒をつい飲みたくなってしまう。添えてあった白菜ときゅうりの漬物、南蛮味噌漬は懐かしささえ感じる飾り気のない味。

麦ごはんは、丼にたっぷりやさしくよそってあった。つやつやした炊きたての麦めしで、丁寧にたいた麦めしって、白米にまさるともおとらないうまみがある。白米よりプチプチした歯ごたえがあって楽しめた。

スープは、中鉢にたっぷりよそってあった。無色で透明なスープは塩味主体の味付けが施されていた。表面には縦切りされた長ネギがたっぷり入っていて、そのネギの下には別煮されて噛むと口の中で繊維がほどける位柔らかくなった肉が3個ほど入っていた。

韓国の焼肉店に比べたら、肉の種類も少なく、肉・漬物・スープは塩・味噌による味付けでシンプルだが、店の雰囲気料理に、昭和の貧しい時代をのりこえて、試行錯誤を繰り返して牛タン料理を育て上げた、佐野啓四郎氏の心意気みたいなものが感じられる。

この店の、塩・味噌というシンプルな料理は、熟成・調和という日本食のルーツ的な観点にたった最もシンプルで難しく、かつ食材のうまみをストレートに食べてに伝える味付けと言える。特に日本酒との相性がよさそうで、レトロな雰囲気な座敷席で飲むおじさんたちが多いのが納得できる。

これを生み出した先代に感謝しつつ、つくばで原点に近い牛タン定食が食べられてよかった〜!


↑外観


↑玄関


↑座敷席


↑ランチ¥1600


↑牛タンのアップ 



トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索
最新記事